2013年04月23日

思わぬところに天職が

労働力の減少の折り、衰退産業から成長産業へ労働力を移動させるべきだ。
そのためには、今よりも正社員を解雇しやすくするべきだ。
怖ろしい内容ですが、現実に安倍政権で議論されていることです。
どこまで「正社員を解雇しやすく」するのか知りませんが、
自分に合う仕事かどうか、ミスマッチもあるので、そう簡単なことではないはずです。


「山田くん、君が今までやっていた仕事、他社に委託することになった。
で、君どうする? もう、会社にいても意味がないから辞めることにするかい」
「………クビってことなんでしょうか?」
「いやいや、クビではないよ。君には解雇されてしまうような理由は何もないだろう。
何かあるのかな? 解雇されてもしょうがないか、そんな理由があったら是非教え」
「何もないです。解雇される理由なんて一つもないです。でも」
「分かってるよ。だから、会社を辞めるのも、会社に残るのも、君の判断次第だと」
「えっ? いいんですか? 残ります。じゃあ会社に残らさせてください」
訴訟をおこされたら面倒だ、要らぬトラブルだけは避けたい、という会社側の意向。
しかしこいつは、解雇ですと告げれば、あっさりと受け入れてくれたかもしれない。
強気に出ればよかったかな。会社側としては後悔しますが、いたしかたありません。

なんとか会社を辞めさせたいけれど、解雇を告げる理由が見当たらない。
それなら、自分から「退職させてください」と仕向ける方法はないものか。
以前から使われている手法ですが、「追い出し部屋」が登場するわけです。


地下にある倉庫で、意味のない仕事を延々と続けさせられる。
他人との接触は一切なく、話し相手もいない、孤独でやりがいのない作業。
なんの意味があるのか、傍から見れば、会社と根競べ、それだけのはずです。


地下の倉庫で、ホチキスの針を書類から外し、シュレッダーにかける。
あまり使われていないパンフレットの、訂正箇所にシール貼り。
ひたすら、これを朝から晩まで行わなければならない。いわばイヤガラセ業務です。
重要書類は各人でシュレッダーにかけることになっているので、
回されてくる書類は、こんなのも個人情報なの? という程度であり、
会社を逆手に取れるような情報を得ることもできない。

「山田はまだ地下でやっているのか。まぁ放っておけば1ヶ月ももたんだろう」
会社側はそう考えることでしょう。が、しかし。
中には、こういう単純作業が無性に肌に合っている人もいるわけです。
「社長、1ヶ月どころか、山田は楽しそうに、活き活きと作業しています」

「よし、800枚を突破したぞ」 
“いっぱいです”のランプが点灯するまで、何枚シュレッダーにかけることができるか。
袋を交換するまでに何枚の紙を裁断できるか。
こまめにノートにつけて、1日の合計を出し、それを眺めては、
悔しがったり、喜んだりしているわけです。
「うぉー、やったぞ。今日は12,000枚超えだ」

10分間でホチキスの針を何個外すことができるか。
「今日は厚めの書類が多くて記録が伸びないな。しかし、負けないぞ、見てろ!」
パンフレットの訂正用シール貼りは、1冊ずつ自己採点。
「今度のはほぼ完璧に貼れたぞ。でもまだ100点ではないな、92点というところか」
思わぬところで天職を見つけてしまったりするものです。

「社長、山田は配置転換に応じません。今の仕事を取り上げるつもりなら、
自分のこれからの全人生をかけてでも、会社と争うとキッパリ言ってきました。
覇気のなかった山田が、あんなに語気を荒げて言ってくるなんて、あいつ本気です」
リストラ対象社員は思いがけないところでパワーアップしてしまい、
会社にとって、さらなる重いお荷物になってしまうのです。 めでたし、めでたし。


【整理解雇……リストラ】
@本当に社員をクビにしなければ、会社が潰れてしまような状況にあるのか?
A経営陣の報酬カットとか、解雇ありきの前にやれることがあるんじゃないのか?
Bリストラの対象にされた、自分を含めた者たちは何の基準で選ばれたのか?
C紙1枚渡されただけでは納得できない。ちゃんと説明し、話し合いの場を作れ!
以上@〜Cが整理解雇の4要件です。特に重要視されているのはCです。

【懲戒解雇……クビ】
@解雇に、客観的に合理的な理由があるかどうか。
  客観的に=社員の誰もが見ることのできる就業規則が一般的だと思います。
  「あなたはクビです。ちゃんと就業規則にこれをしたらクビだと書いてあるでしょう」
  合理的な=就業規則に書かれている項目が理にかなっているかどうかです。
  「確かに書いてありましたけど、職場でつまらないダジャレを言ったらクビだなんて」
  こういった場合は、合理的な理由とは言えず解雇は認められません。
  ただし、再三再四注意を受け、他の従業員からヤメろと言われたにも係わらず、
  職場でつまらないダジャレを言った場合は解雇、とあれば微妙です。私は認めます。
A解雇が、社会通念上相当であると言えるかどうか。
  就業規則に「会社の機密を漏えいした場合は解雇」とあれば、
  これは客観的に合理的な理由と言えるので@はクリアです。しかし、
  自分の給与明細を同業他社の者に見せたということが、世間一般の人から見て、
  「それはクビになってもおかしくない」、「当然クビだろう」と思われるかどうか。
  個人の給与明細を見せたくらいでは、会社の機密の漏えいとは思えませんし、
  世間の人たちも「それは会社のやりすぎ」、「クビだなんてひどい」と言うはずです。
  よって、社会通念上相当であるとまでは言えないとなり、解雇は無効になります。


ちなみに、もしリストラ勧告されたとき、
「こんなクソ会社、こっちから辞めてやる!」
この一言だけは、言ってはいけません。自己都合退職になってしまいます。
会社に来るなと言われて暇になったんで、と会社を訴える裁判をおこせなくなります。
解雇予告手当をもらうことができません。
ハローワークで有利になる会社都合退職ではなくなります。
それこそ会社に対して暴言を吐いたということで、懲戒解雇の可能性もでてきます。
くれぐれも、その一言だけは胸の内に納めてください。
posted by 貞吉 at 20:03| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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