2011年03月28日

行列

会津若松では、ガソリン事情がだいぶ改善されたようです。
CDは聞かず、エアコンを切り、アップダウンの道を避け、加速はそろりそろりと、
私は、節約に節約を重ね、なんとか2月末の給油から、持ちこたえてきました。
そしてタイミングの良さもあってか、1台も待つことなく給油することができました。

しかし、並ばないと給油がままならない厳しい地域も、まだまだあるわけです。
私みたいな「並ぶのって面倒でヤだもん」という横着で緊迫感のない人間はともかく、
ガソリンがないと死活問題、そんな逼迫した状況に置かれている人も多くいるはずです。
私とて、そんな方々を「何もそこまでして」とか「普通、夜中から並ぶか」とか、
とてもとても、そんなことを言うことはできません。
夜中、翌日のスタンドの開店待ちの間、ガソリンの節約とばかりにエンジンを切り。
その代わりに車中で七輪を使い、結果、中毒死した老人。
給油待ちとはいえ、アイドリングする燃料さえ底をついていれば、
寒さとの闘いであり、眠ったら凍え死ぬのです。 笑えません。

「えっ? この行列、パン屋の開店待ちだったの? ガソリンじゃなかったの?」
早朝、車が並んでいれば、いちいち確認なんかしていられる状況ではありません。
とりあえず最後尾について、給油のチャンスをうかがうわけです。
こういった期待はずれというのか、
切実であるがゆえの思い違いが、あちこちで起きているのではないでしょうか。


「なぁ、おまえのところ、明日営業すんのか?」
ガソリンスタンドに勤める友人に、電話をかけて確認します。
「明日はやらない。ガソリン入ってこないから。給油なら無理だぞ」
「いや、ガソリンはいいんだ。そうじゃなくて、店の前に車を置かせてくれないかな」
「車を? でも、チェーンがかけられているから、中は無理」
「いいんだ、通行の邪魔になりたくないだけだから」
「ふ〜ん。なら、大丈夫だと思うけど、何時から何時ごろまで?」
「今夜の11時頃から、明日の朝7時には帰ってきてどかすよ」
「分かった。それなら問題ないと思うよ。一応オヤジに許可取っておくから」
「おう、サンキューな」
「夜中だけど、緊急車両とかも通るから、邪魔にならないように寄せて置いてな」
「おう、分かった」


被災地の道路はまだ、瓦礫が散乱しています。
比較的きれいに片付けられているのは、ガソリンスタンド付近くらいでしょう。

夜中の12時前、ガソリンスタンドのチェーンの前に車を横付けします。
そして仲間の車が来るのを待ち、その車に乗り、その場を去って行きます。
真っ暗なガソリンスタンドの前に、車が1台、ポツンと置き去りにされるわけです。

さて、それから10分ほどたって。
スーッと1台の車が、チェーンの前に止まっている車の、すぐ後に停車します。
それから3分ほど。
また1台、スーッと車がやってきて2台目の車の後ろに停車します。
車が1、2、3。 3台並ぶと、はた目からすれば立派な列です。
いったん列の形ができあがってしまうと、後は見る見るうちに、です。

Twitterでは、
「GS情報。並んでいるスタンド見つけました。まだ5台ほどでしたよ」
「そこって、明日の営業情報に入ってないんだけど、あえて隠してたのか?」
「並ばれるのが迷惑なスタンドは情報を公開しないみたいですよ」
そんな情報がやりとりされ、どんどん、どんどん、列は膨らんでいくわけです
かくして朝の6時には、1kmほどの車の列ができあがります。

「次回の入荷日は未定です」の看板は、
最初に並んだ2台目のドライバーの目に入っているのかどうか。
6時間も並んでいれば、目に入っていたとしても無視です。
信ずる者は救われる、思い込めばなんとかなる、の境地だと思います。


「うちの映画館では、スターウォーズ・シスの復讐は上映しないよ」
館主がそう言っているにも係らず、上映待ちの大行列が昔、アメリカでできたそうです。
「だから、ウチではやらないんだって。並ばれたって、どうしようもないんだって」
「OK。大丈夫だ。分かってる。気にしないでくれ、俺たちは好きで並んでいるんだから」
「………だから。 館主の私が言ってるんだから。 ………なぁ、勘弁してくれよ」
狂気の沙汰だなと、笑いながら思っていたのですが、
映画鑑賞と生活の手段、生きるための足であるガソリンでは意味合いが違います。
笑うことはできません。


さて、7時にスタンド前に帰ってきた男は、2kmに及ぶ列を眺めて何を思うでしょうか。
「えっ? ………………………………」
果たして、エンジンをかけて、スーッとその場から離れていくことができるでしょうか。
意味もなくできた行列。 誰が悪いとは言えないと思います。
被害の大小はあるにせよ、日本人は皆、同じ立場。被災者つながりなのですから。


皆様、こういった時ですので、なるべく誤解を招くような振る舞いは避けましょう。
道端でボウーッと突っ立っていると、知らないうちに、後ろに並ばれてしまいます。
posted by 貞吉 at 20:32| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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