2008年11月22日

デービス・ジュニア

「寒かったぁ。外、めっちゃくっちゃ寒いぞ。体が芯から冷えちまった。サミィー」
「デービス・ジュニア」
「………………なに? ………今、なんて?」
「はい? ………いえ、べつに」
「なんて言ったんだよ。 今、なんて言ったんだ?」
「えっ? ………今井さんが、サミィーって言ったから、デービス・ジュニアって」
「………なんだそれ? ふざけたことぬかしてんなよ」
「す、すいません。 つ、つい、思いついたことが口から」
「つい口からだと? つい口からで、許されることじゃねぇんだよ!」
「申し訳ありません。ごめんなさい。本当に申し訳ありませんでした」
「おまえが風邪気味だって言うから、代わりに外に出て誘導してきてやったんだぞ。
それをなに? サミィー・デービス・ジュニア? ふざけてんじゃねぇぞ、このヤロー!」

第三者としては、「おい、おい、どうしちゃったの?」
どうでもいい、つまらないことで、何もそんなにキレなくたって、そう思うわけです。
しかし、こちらには分からない、キレる伏線がちゃんとあったりするのです。

この場合、何かのイベントでお客様が駐車場にやってきて、
本来なら後輩のスタッフが外に出て、車を誘導しなければならない。
しかし、後輩が風邪気味だと言うので、それなら俺が行ってきてやるよ。
先輩社員が思いやりで、代わりに行くことになったわけです。
そうは言ったものの、実際に外に出てみると、雨は冷たく、
腹が立ってくるほどの寒さで、「なんで、こんなにクソ寒いんだよ!」
そこにきて、来られたお客さんが年配の女性だったりするわけです。
オーライ、オーライと、大声で誘導してあげているのに、
まったく人の言うことを聞かない、あるいは見ない。
バックしては、前進。何度もヘタな切りかえしを繰り返すわけです。

びしょぬれになって、イライラして、外から戻ってきます。
そしたら“サミィー・デービス・ジュニア”。
誰だって、怒鳴ります。

『てめぇは、人をおちょくっていられるような立場か?
まずは何より、ご苦労様でしたとか、お礼を言うのが筋なんじゃないのか?
それをオノレは、のうのうと、くだらない駄洒落なんかを言いやがって』
先輩としても、何故、こんなにキレたのか、あらためて説明するのも照れます。
後輩は、何故、そんなに切れたのか、理解できていればいいのですが、
理解できてない場合でも、「なんで、そんなにキレたんですか?」とは聞けません。
お互い、重い沈黙のままでこの場は終わることになります。


「実はさ今日、こんなことあったんだよ」
さて、この後輩が、誰かに話すこともあると思うのです。
「今井さんにめっちゃ怒られたよ。違うよ、そうじゃないって。今井さんが、
“サミィー”って言ったから、俺が“デービス・ジュニア”って言ったわけよ。
そしたらさ、顔を真っ赤にして、俺、ホント、殴られるかと思ったよ。
知らねぇよ。ワケ分かんねぇし。 フツー、笑うところだよな?」
決して、笑うところではないし、笑えるような内容でもありません。
ただ、聞かされた人たちは、
あまりものバカバカしさに、涙を流しながら笑い転げると思います。



さて、私ごとですが。
出かけ間際になって、いろいろなことを思い出し、準備に大わらわ。
そんな時に、電話がかかってきたのです。
誰だよ、このクソ忙しいときに電話なんか寄こしやがって。
「もし、もーし」
「あっ、もし、もーし。中島釣り船店さんですよね」
「………………………」
「もしもーし。中島釣り船店さんですよね」
私、ぶちきれて電話をたたっ切りました。
思うに、これが鈴木さんですかという間違いなら、こうはキレなかったと思います。
“中島釣り船店”。 この突拍子もない間違いに何故か無性に腹が立ったわけです。
posted by 貞吉 at 15:48| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いいブログですね。応援してますのでどんどん更新してください。僕のブログは気悪くするかもしれないので、あまりおすすめできませんが。また見に来ますね。
Posted by 新川すぐる at 2008年11月26日 19:21
ありがとうございます。
でも何故なんでしょう。不思議と、褒められている気分になれない自分が。
Posted by To新川すぐる 貞吉 at 2008年11月29日 15:15
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