2008年08月30日

10年定期の死亡保険

生命保険の種類に定期保険というものがあります。
一般的に10年ものが多いようで、その10年間という一定期間についてだけ、
何かがあったら保険会社が保障するという商品です。

銀行の定期と混同し、誤った認識で加入する方もいるようなので注意が必要です。
一定期間、銀行に預ければ普通預金より多目の金利がつく。これが定期預金です。
対して、生命保険の定期とは、決められた期間を1日でも過ぎると、
その日以降はなんの保障もなくなり、払ったお金も1円も戻ってこない。
全く内容が異なるわけです。

その生命保険の10年定期。とりわけ10年定期の死亡保険。
10年の間に死ねば、多額の保険金が残された遺族におりる保険です。

「ママ。………パパってガンになっちゃったの?」
悲しそうな顔で聞いてくる子供。それに対し母親はニコーッと笑いながら、
「大丈夫よ。 お父さん、ちゃんとガン保険に入っているから」
その言葉を頷きながら聞いてニコーッと笑い返す子供。
そんな不気味なCMがかつてありましたが、
10年定期の死亡保険って、そんな保険のような気がするのです。


再婚なりで比較的若い妻をもらい、その結果、
出来た子供とは、年齢が40歳から50歳も違うケースって、あると思います。
例えば、子供が来年から中学。その時、父親は55歳。
中学から大学を卒業するまで、子供の年齢で言えば12歳から22歳までは、
何かと物入りになるはずです。そこで、奥さんから提案が出されます。
「あなた。10年定期の死亡保険に入っておいてよ。 死んだら5,000万円くらいの。
ヒロシが大学を卒業してしまえば、後はなんとでもなるから、この10年間だけ」

この時のご主人の気持ちは?
ちなみに、歳を取ってから入る保険の掛け金は相当に高いです。
『こんなに高い保険料を生活を切り詰めてまで入らなければならないのか?
確かに自分が死んだら、何かと不自由が多くなるはずだ。それは分かる。
万一のことを考えて、それも分かる。でも、10年後っていったら、まだ65歳だよな。
俺、65歳ではまだ死んでないような気がするんだけど』
なんとなく、気持ちがザラつきますが、自分がかける迷惑と家族のため承諾します。


そして月日は経ち、何事もなく9年と6ヶ月が過ぎます。
後、残すは半年です。半年の間に死んだら5,000万です。
死ななかったら、払い続けた保険料の合計数百万円がムダになるわけです。
繰り返しますが、払って来た数百万円は1円も戻ってきません。パァです。
高額な掛け金は、いつだって生活を圧迫してきたはずです。
一生懸命にやりくりし、奥さんは滞ることなく払い続けてきたわけです。

この時のご主人の気持ちは?
『女房は、どんな気持ちで今まで、掛け金を払ってきたんだろうか。
いつか死ぬ。いつか死ぬ。10年の間に、いつか死ぬ。
そう信じて、自分を信じ込ませて払ってきたんだろうか。………まさかな。
………後、半年しかないわ、って思ってるのかなぁ。………まさかな。
早く死ね、早く死ね、今はそんなことを考えて払ってる?………まさかな。
女房には悪いと思うけど、なんだか………俺、死ねそうにないもんなぁ。
でも、もし、万一、俺がこの半年の間に死んだら、こういった状況で死んだら、
………女房と子供は心の底から、俺の死を悲しんでくれるだろうか。
内心、間に合って良かったワみたいな、安堵の気持ちで葬式を出されるんだろうか。
なんだか………そうだったら悲しいよな。救われないよな』
こんなことを考え出すのは、決して異常ではなく、必然のような気がします。
たぶん、最後の2、3年は夫婦の間で保険の話は一切出ないのではないでしょうか。
それがまた、探りあいみたいな、妙な雰囲気を作ってしまうと思うのです。


後、残すは僅か3ヶ月。
そんな日の、家族で夕御飯を会話もなく食べている時、
女房が俯き加減にごはんを口に運びながら、ボソッと言うのです。
「ねぇ、あなた。 ………あなたって………自殺とか、考えたことないの?」


私、これと似たような境遇にいます。
………やだよー! やめてくれ! 怖いよ!
そんな保険なんかに入りたくなんかないよ。入れないでおくれよ。
入った段階で、人生っていうか、「最後の任務よ」みたいで終わり確定じゃん。

私、入れられた段階で、無責任かもしれませんが、家を出ます。逃げます。
しかし、なんとまぁ、罪作りな保険を作ったもんだ。 迷惑です。
posted by 貞吉 at 17:43| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
でもねぇ(;一_一)
余りにも疲れてる医者嫌いの主人を見てると、保険考えたくなりますよ、妻は…。
Posted by 重田 at 2008年09月08日 11:29
余りにも疲れ果てているご主人だと、保険の外交員から、
「こいつ………早死にしそうだな」と敬遠されてしまいますよ。
でも、保険の外交員って自分の成績しか考えない人が多いから、
本当に体を壊す前の、今、入れておくしかないですよね。
Posted by To重田 貞吉 at 2008年09月10日 18:44
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