2008年08月21日

だから、知りません

ある日、銀行に行きたいという母親を車で送っていきました。
銀行に着き、1人で入って行きます。
私はエンジンをかけたまま銀行の駐車場で待機です。
しばらくして、母親が銀行から出てきました。
「白い車、銀行の駐車場から出て行ったでしょう?」
「………えっ? なんですか?」
「白い車が銀行から、出て行ったでしょう」
「………今ですか?」
「今か、さっきかなんか知らないわよ。でも、白い車が出て行ったでしょう」
「そうですね。白い車なら普通車、軽自動車、何台か出ていきましたよ」
またワケの分からないことを言ってくるんだろうな、イヤな予感がしました。
「右に曲がって行ったんじゃない? その後どっち方面に行った?」
「………………」
「駐車場から右に出て行ったはずなんだけど、その後、どっちに行った?」
「………さぁ、どの車のことを言っているのかサッパリ。 分かりません」
「あら、やだ。なんでちゃんと見ておいてくれないの? 私の知っている人なのよ」
お母さんの知っている人は私の知っている人。 ………そうじゃないですよね。
誰のことだか知りませんけれど、お母さんの知人とは、
私、あんまり面識ないですよね。だから、私は知らないはずです。
仮りに私が顔を知っていて 「あっ、お母さんの知人の青山さんだ」 だとしても、
ついでに、「青山さん、どっちに行くんだろう」 すこぶる興味を持っていたとしても、
そして、「ふ〜ん、青山さんは右に行くんだ。ふ〜ん」 この目で確認したとしても、
その後、視界の届かない車がどっち方面に行ったかなんて、
私が知るはずがありません。
「家に帰ったのかしら、それとも教室に向かったのかしら」
「………………」
「家に帰ったのかしら、それとも教室に向かったのかしら。 ねぇ、どっちと思う」
“ねぇ”って、だから、そんなこと私は知りませんって。


「翔太郎、出かける時に、ちゃんと帽子をかぶっていった?」
お父さんと翔太郎を玄関から送り出したのはあなた、お母さんです。
ちなみに、私は2階にいて、見送りはしていません。
「えっ? 知りませんよ。 2階にいたから見てませんし」
「かぶっていってないんじゃないの」
「………………」 (だから、見てないから分からないって)
「だって、ここに帽子が置いたまんまじゃないの」
「………………」 (だったら、かぶっていってないんでしょうね)
いったい俺に、何が言いたいんだろう。
「陽射しがきついのに帽子をかぶせてやらないなんて、かわいそうじゃない」
かわいそうって、こっちにも言われても………知りません。


「あら? お父さん、もう出かけたの?」
「なんだかさっき、出かけて行ったみたいですよ」
「川村さんチに寄って声をかけていった?」
「へっ? ………川村さんって、ご近所の川村さん?」
「川村さんチに寄って声をかけてから、行ったんでしょ?」
「………………」
「川村さんチに寄って声をかけてから行かないと、
川村さんは、いつまでたっても出かけられないべした」
「………………そうなんですか」
「そうなんですかじゃないわよ。 川村さんはお父さんが来るのを待ってるのよ」
「………………なんのことだかサッパリですけど、初めて聞きました」
「お父さん、川村さんちに寄って声をかけていったのかしら?」
「………………」 (だから知りません!)


なんとなく分かってきたのですが、きっと、これは独り言なのでしょう。
自分で自分を責めてしまいそうなので、誰か相手を交えて気を紛らわす。

「今から御自宅? 教室?」 なんで私、声をかけて聞かなかったのかしら。
「ちゃんと帽子をかぶらないとダメよ」 なんで、確認しなかったのかしら。
「お父さん、川村さんチに寄るの忘れないでね」 なんで、言い忘れたのかしら。
そんな独り言なのでしょう。

そんなところだろうと思うのです。………そうは思っても、こっちがたまらん。

ちなみに、母親がした以上の質問に私が即座に、的確な答えを出したら、
「………なんで、あなたが知ってるの?」 驚いたりして。
posted by 貞吉 at 23:25| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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