2013年03月29日

雇用継続の義務化

定年退職の年齢を60歳に設定している会社は多いと思います。
60歳を迎えるにあたって思うことは人、様々だと思います。

振り返ってみれば、我ながら、よく頑張って働いてきたな。
定年退職となったら、念願のぶらり一人旅をしてやろう。
ひなびた温泉に1週間くらい滞在して、自然を満喫できたら最高だろうな。
毎日、趣味の庭いじりと、読書三昧といくか。
生活に余裕があれば、こんなことを思い描いている人も、中にはいるでしょう。

しかし、この4月以降、定年退職後の生活を夢見ていた人からすれば、
「まったく、余計なお世話の法律を作りやがって」
そんな法律が施行されます。改正高年齢者雇用安定法です。

60歳定年制を採用している会社でも、本人がまだ働きたいと希望すれば、
会社は65歳まで引き続き面倒を見なければならなくなります。
≪だったら、希望しなければいいじゃないの。
そうすれば、思惑通り、従来の定年退職という形で退職できるんでしょう?≫
確かにそうなんですが、しかし、果たして本人の希望が通るものでしょうか。

「ねぇ、あなた。会社に雇用継続の希望を出したんでしょう」
「う〜ん、どうしようかと、今、検討中だ」
「検討中? 何を言ってるのよ、働きなさいよ。
せっかく65歳まで働ける法律ができたんじゃないの。
タイミング的に考えて、これって、あなたのために作ってくれた法律なんじゃないの。
私、イヤァよ。定年後、毎日あなたと日中も一緒だなんて。
まだ元気なんだから、仮に給料が少なくなってもいいじゃないの。
だから、頑張って65歳まで働いてちょうだい。
もし、会社を辞めるなんて言ったら、………本気で離婚を考えますから」
奥さんから邪魔が入る可能性が大だと思うのです。
せっかく、のんびりと残りの人生を送れると思っていたのに、
女房の離婚を盾にした強い主張に、従わざるを得なくなることでしょう。
「おう、上等だ。会社を辞めるから、とっとと出て行け!」仮に離婚に応じると、
専業主婦だった妻に、これからもらえる年金の半分を持って行かれてしまいます。
これも法律で定められている年金の離婚分割です。
慣れない家事をこなす自信はないし、もらえる年金が半分になってしまうと、
一人旅どころではなくなってしまいます。
泣く泣く、会社に継続雇用の希望を申請せざるを得なくなるのです。

「人事課から話を聞いたよ。定年後も会社に残ってくれるんだってね」
雇用継続を希望申請した後、すぐに社長室に呼び出されます。
「あなたが残ってくれるとは助かるな。でっきり定年退職すると思ってたから。
早速なんだけどね、あなたには9月から北海道の旭川工場に行ってもらって、
安全衛生業務に是非、力を注いでもらいたいんだ」
なんだよ、残るのかよ。残りたいって言うのなら残ってもいいけど、
だったら単身赴任で北海道へ行ってもらうことになるからね。
こういった、会社側からのいやがらせも当然考えられます。
会社側としては、「やっぱり私、会社を辞めることにします」
この言葉を引き出したいわけです。

会社としては、本来、定年で10人の高齢者が会社を去り、
10人の若手を採用できたはずなのに、
10人の高齢者が会社に残れば、新入社員の採用人数を減らさざるをえません。
全部の会社が、そうだとは言いませんが、
できれば、「雇用継続は希望しません。会社を辞めます」と言ってくれないだろうか。
定年を迎える者と、会社側との、せめぎ合いが起こると思うのです。


改正高年齢者雇用安定法は、
年金の支給開始年齢が65歳に移行されている状況下で、
「60歳になって定年で会社を追い出され、
年金をもらえるまでの5年間、どうやって生活をしていけばいいんだ!」
政府としては、そういった国民の非難の声をはぐらかすため、また、
働きながら年金をもらう形に持ち込めば、年金と給与の額によっては、
年金の全部、あるいは一部を支給しなくて済む。
これこそ、一石二鳥の作戦なわけです。
対して、押し付けられた企業の方は、たまったもんじゃありません。
しかし、女房と会社の板ばさみになる60歳のお父様たちは、もっと、
たまったもんじゃない、つらい思いをさせられるのです。
高齢者に対する、カウンセラー業務が流行るだろうと思われます。

会社に残ったら残ったで、今までの部下と横並びの机に座らせられ、
今までの部下だった者が、自分の上司となって、指示を出してくるのです。
このストレスも大きく、のしかかってくることでしょう。
今まで管理職だった60歳のお父さんたちに聞きますが、
両面コピーを頼まれたら、うまくコピーすることができますか?
posted by 貞吉 at 20:17| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする